FC2ブログ

Article

        

隣の親父が憎い

2018/ 07/ 26
                 

あのさー昔(消防の頃)、家の横の家の熟年夫婦がさあ、よく喧嘩してたんだよ。
夜中に「殺すぞ!」とか怒鳴り声が聞こえてきてさ、食器が割れる音やらね。
とにかく凄く激しい夫婦喧嘩だった。
近所迷惑だったしさ、でも野次馬な自分は、部屋の電気を暗くして、横の家の覗きが趣味になっていた。

その日も、夜中激しい喧嘩がはじまったから、電気を消してそ~っと覗いてたんだよ。
横の家さあ、カーテンをいつも開けてるから、俺の部屋からはおもしろいぐらい丸見えなんだよね。
オバサンがフライパンでオヤジを殴ったり、ヒステリーに食器を投げ付けたり、
オヤジが椅子を投げたりしてさwなかなか見応えのある喧嘩だった。
その時にさ、オヤジが窓から覗いていた俺に気付いたんだよ。
オヤジは窓を勢いよく開けると、
俺の方に向かって「ぶっころされてぇのか!この糞ガキが!」と怒鳴り威嚇してきた。
消防だった俺は怖くなり、親の部屋に行き布団に潜りこんで、その日は寝た。

それからしばらくたっても、オヤジは何も言いに来なかった。俺は覗きをやめた。

俺の家は柴犬を飼ってたんだよ。近所の商店街の店で貰った犬だ。
とってもかわいくて頭も良いし、なにより優しくて良い犬だった。
隣のオヤジが犬嫌いなのは知ってたが、庭で飼ってたし何も迷惑はかけていなかったはずだ。

だがある日、隣のオヤジが俺の家に怒鳴り込みに来た。
犬が臭いだの、俺(オヤジ)を見て吠えるだの、保健所に今すぐ連れていかないと犬を殺す!と言われた。
俺は「絶対、犬を保健所にやらないでくれ!」と泣きながら親に頼んだが、
ある日、学校から帰ってきたら犬は居なかった・・・
俺の親は、犬を余所にやらないと、隣のオヤジが俺や兄弟に危害を加えるんじゃないか、と考えた末に、
仕方がなく犬を手放したそうだ・・・
だが、俺は悲しくて悲しくて、隣のオヤジが憎くて仕方がなかった。
親が言うには、犬がかわいそうだったので保健所にはもっていかず、車で隣の県の山に連れていったそうだ。
犬は山につくなり、嬉しそうに走り回っていたらしい。
その間に親は犬を置き去りにし、車で帰ってきたそうだ・・・
犬の気持ちを考えると涙が出る。遊びに連れてきてもらったと思ったんだろうな。
しかし、遊び終えて飼い主の元に行っても誰も居ない。知らない土地に一人ぼっちにされて・・・
不憫で仕方がない・・・
俺は隣のオヤジを憎んだ。呪い殺してやろうとさえ思った。

そして、なぜか隣のオヤジは、いきなりポックリ死んだのだ。
俺は嬉しくて嬉しくて!踊り狂いたいぐらいの喜びだった!

オヤジの死因はわからない。オバサンに殺されたのかもしれないし、よく分からなかったが、どーでもいい。
今まで生きてきて、人の死がこれ程までに喜ばしかった事なんてないだろうな。

オヤジが死んで一週間たつか、たたない日に、庭から「ワン!ワン!」と懐かしい声がした。
俺は部屋から飛び出した。なんと犬が帰ってきたんだよ!泥だらけで真っ黒になって!
こんな幸せな事はなかった。
この時ばかりは、神を信じざるを得なかったよ。

2年前に犬は老衰で死んでしまったけど、俺は精一杯かわいがったし、犬から沢山の幸せをもらった。
ありがとうと言いたい。
犬はいいよ。

怖い話じゃなくて、すいませんでした。急に思い出してしまったので・・・

犬が天国で幸せに暮らしてくれる事を、俺は願ってる。
もし生まれ変わりってのが存在するなら、また俺と何かしら深く関われる存在に生まれ変わって欲しい。
ありがとう。


関連記事
                         
                                  

コメント